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【テクニック】構図に困った時の黄金長方形パワー
先人達は美しい図形を作成する方程式を編み出しました。それが黄金比です。
黄金比とは、もともと古代ギリシャで数学として意識されていました。
【1つの直線を1点で分けたとき、長い部分(a)と短い部分(b)との比(a:b)が、直線全体(c)と長い部分との比(c:a)が等しくなるような分け方】だそうです。
これが黄金比の長方形【黄金長方形】です。
長辺が短辺の1.5倍ちょっとの大きさで、名刺のサイズ91mm×55mmに近くなります。ちなみに1を55にすると91の部分は88になりますので、名刺は正確な黄金長方形ではありませんが目安になります。
また、黄金長方形の面白いのは、【短編の長さの正方形で区切ると、残りの長方形も黄金比となる】という事です。
実際に正方形を加えるとこうなります。
この法則は無限に続きます。
そして、正方形の頂点を曲線でつなぐと、螺旋が現れます。
この螺旋は自然界に多数存在しています。
オウムガイ
バラ
台風
無限につづく螺旋は自然界にとってもしっくりくる回転の形なのでしょう。
そしてこの螺旋こそがジャイロ・ツェペリが辿り着いた黄金長方形の回転ですね
このように図形にも、自然界にも相性の良い【黄金比】を芸術の先人達は美しいと認識し、意識して、もしくは無意識に作品に落とし込んでいます。
例えばミロのヴィーナス
へそからつま先を1、身長が1.618、顔の幅を1、顔の長さを1.618など計算し尽くされた抜群のプロポーションを誇っています。
パルテノン神殿
正面から見た縦横比が黄金長方形になっています。ちなみに、屋根を入れた高さと横幅の比率の場合だそうです。
ピラミッド
クフ王が眠るピラミッドの高さと底辺一辺の長さは黄金比になっています。
iPhone
Appleの製品やサービスには黄金比で作られたものがたくさん隠されています。ロゴマークやWebサイトも黄金比で細かく計算されています。
しかし、デザインという仕事をする上で、「黄金比でないと美しくない」という考えは捨てた方が良いでしょう。黄金比で完璧に完成させるためには膨大な計算や作業の時間が必要で、クライアントにご用意いただける費用とのバランスが取れなくなります。
「デザインや構図には全て理由があるのであ〜る」というカタい頭でなく、こんな考え方でブラッシュアップする方法もあるんだな、という程度に片隅に入れておくと便利です。
上手に黄金比でまとめられた時は、クライアントに「このレイアウトは黄金比で作られておりまして」と説明すれば、まるっと替えのレイアウト変更も大目に見てもらえるかもしれませんねw