「とりあえずWordPressで自分でサイトを作った」という話は、中小企業の経営者やWeb担当者からよく聞きます。無料テンプレートを使えば見た目もそれなりに整うし、費用もかからない。はじめの一歩としては悪くない選択です。
ところが、1〜2年後に「更新できなくなった」「問い合わせが来ない」「セキュリティが心配」と相談に来られるケースが後を絶ちません。問題は完成した瞬間ではなく、運用が始まってからじわじわと表面化するのが自作WordPressサイトの特徴です。
この記事では、WordPress自作サイトで起きやすい「あとから困る」問題を整理したうえで、CMS選定や構築を外注するときに知っておきたい設計の落とし穴と判断基準を具体的に解説します。
結論として、「作ること」よりも「運用し続けること」を見据えた設計と、それを一緒に考えられるパートナーを選ぶことが、中小企業のサイト制作では特に重要です。
WordPressで自作サイトを作ると起きやすい5つの問題
WordPressは世界中で使われている優秀なCMSですが、「誰でも使える」ことと「誰が作っても問題が出ない」ことは別の話です。専門知識なしに構築したサイトには、運用フェーズで共通してつまずくポイントがあります。
① セキュリティのリスクが放置されやすい
WordPressはシェアが大きい分、攻撃対象にもなりやすいCMSです。本体・プラグイン・テーマは定期的にアップデートが必要ですが、自作サイトでは更新を後回しにしがちで、気づいたら古いバージョンのまま放置されているケースが多くあります。脆弱性を突いた攻撃を受けると、サイトが改ざんされたり、フィッシングサイトに転用されたりする事故につながります。「うちは小さな会社だから狙われない」は残念ながら通用しません。ボットは規模に関係なく自動的に脆弱なサイトを探しています。
② プラグインの乱用でサイトが重くなる
WordPressの便利さの一つがプラグインの豊富さですが、「とりあえず入れる」を繰り返すと、相互干渉や表示速度の低下を招きます。ページの読み込みが遅いサイトは、ユーザーが離脱するだけでなく、Googleの検索評価にも悪影響を与えます。特にスライダー・問い合わせフォーム・SEO対策・バックアップ・SNS連携などをプラグインで一気に追加すると、気づかないうちにサイトの動作が不安定になっていることがあります。
③ SEOの基本設計が抜け落ちている
テンプレートでサイトを作ると見た目は整いますが、検索エンジンに適切に情報を伝えるための構造設計は別の話です。タイトルタグやメタディスクリプションの設定、ページの階層構造、内部リンクの設計、モバイル対応、表示速度の最適化など、SEOに関わる要素は多岐にわたります。これらを後から直そうとすると、サイト全体の構造を見直す必要が出てくるため、作り直しに近い工数がかかることもあります。
④ 自分では更新・修正できなくなる
「自分で作ったのに、なぜか更新できない」というのも、自作サイトにありがちな状態です。テーマのカスタマイズをCSSや独自コードで行った場合、どこを触ればいいか自分でも把握できなくなることがあります。また、WordPressのアップデートによってテーマが壊れてしまい、ページ全体が崩れるトラブルも珍しくありません。運用担当者が変わったときに「何も引き継げない」状態になっていることも多いです。
⑤ 目的と設計がずれたまま公開されている
「とりあえずサイトを作った」状態では、そのサイトが何のためにあるのかが曖昧なまま公開されがちです。問い合わせを増やしたいのか、採用を強化したいのか、商品の認知を広げたいのか。目的によってページ構成・導線・コンテンツの優先度はまったく変わります。見た目だけが整っていても、訪問者が次の行動に進めない設計では、ビジネスへの貢献は期待しにくくなります。
CMS選定を外注するときに確認すべき3つの設計ポイント
では、外注する場合に何を確認すればいいのでしょうか。制作会社選びの前に、発注側も最低限の判断軸を持っておくことが大切です。
① 「誰が更新するか」から逆算した設計になっているか
CMSの一番の存在意義は、専門知識がなくても自社でコンテンツを更新できることです。しかし制作会社によっては、デザインや機能の自由度を優先するあまり、更新操作が複雑になるケースがあります。たとえばブログ記事を追加するだけなのにエンジニアが必要な構成になっていたり、固定ページの一部しか編集できない仕様になっていたりすることがあります。外注前に「どの項目を誰がどう更新するか」を具体的にすり合わせておくことが重要です。
② 保守・セキュリティ対応の運用フローが設計されているか
公開後の保守対応は、制作会社によって対応範囲が大きく異なります。バックアップの頻度・保存先、WordPressや各種プラグインのアップデート対応、万が一のトラブル時の連絡体制など、契約前に確認しておくべき項目がいくつかあります。「作って終わり」の制作会社に頼むと、問題が起きたときに「それは保守契約がないので対応できません」という状況になりかねません。特に中小企業では社内にエンジニアがいないケースが多いため、運用まで含めてパートナーが伴走できるかどうかを重視することをおすすめします。
③ ビジネス目標から構造を設計しているか
良いサイト制作は、デザインより先に「どういう人に」「何を伝えて」「どんな行動をしてほしいか」という設計から始まります。制作会社を選ぶときは、ヒアリングの質を見てください。最初からデザインの話や技術の話に終始する会社より、「このサイトで何を達成したいですか?」「今はどういう課題がありますか?」という問いを立てる会社のほうが、目的に沿ったサイトを作れる可能性が高いです。
WordPressを使うべきか、別のCMSを選ぶべきか?判断の目安
「WordPressが良い」「いやNotion系のヘッドレスCMSがいい」という議論はよくありますが、中小企業にとって最も重要な判断軸は「自社の運用担当者が使いこなせるか」です。技術的に優れていても、現場で使いにくければ形骸化します。
- 判断軸
- WordPressが向いている場合
- 別のCMSを検討すべき場合
- 更新頻度
- ブログ・お知らせなど頻繁に更新する
- 更新がほぼなく、静的ページで十分
- 機能要件
- ECや予約、会員機能など拡張が必要
- シンプルな情報発信のみ
- 運用担当者のITリテラシー
- ある程度使い慣れている
- ITに苦手意識がある・担当者が固定されない
- 保守対応
- 制作会社に保守を依頼できる
- 社内で完結させたい・シンプルにしたい
WordPress以外にも、Wix・STUDIOなどのノーコードツールや、Shopifyなどのクラウド型CMSはそれぞれ特性があります。目的・運用体制・予算のバランスを見たうえで、制作会社と一緒に選定することが理想です。「WordPressで作ってください」と最初から決め打ちするより、「こういう運用をしたいのですが、何が向いていますか?」と相談できる関係のほうが、長く使えるサイトになりやすいです。
外注先を選ぶ際にチェックしたい5つのポイント
- ヒアリングが丁寧かどうか
- 最初の打ち合わせで、課題・目的・ターゲット・運用体制について深く聞いてくれる会社は、表面的な制作に終わらないパートナーになりやすい。
- 納品後の保守・サポート体制が明確かどうか
- 公開後のトラブル対応・更新サポートの範囲と費用を事前に確認する。曖昧なまま契約するのは後々のトラブルの元。
- テンプレートか、オリジナル設計かを確認する
- 既製テンプレートのカスタマイズと、構造から設計するオリジナル制作ではクオリティも制約も大きく異なる。予算と目的に応じてどちらが合うかを話し合う。
- SEO・導線設計の話ができるかどうか
- 見た目だけでなく、検索での見つかりやすさやユーザーの動線設計まで考えてくれる会社かどうかを確認する。
- 担当者と直接話せるかどうか
- 営業担当が窓口で、実際に作る人と話せない体制は、認識のズレを生みやすい。特に中小企業のサイトは決裁者と制作者が直接対話できる環境が理想。
まとめ:「作って終わり」にしないために
WordPressの自作サイトは、スタートの手軽さと引き換えに、セキュリティ・保守・SEO・更新性といった運用フェーズでのリスクを抱えやすいのが実情です。問題は公開直後ではなく、じわじわと1〜2年後に顕在化します。
CMS選定や構築を外注するときに大切なのは、「安く作れるか」だけでなく、「誰が・どう運用するか」「どんな目的を達成したいか」を起点に設計できる会社かどうかを見極めることです。
グラフィティーでは、WordPressをはじめとしたWebサイトの制作において、ヒアリングと提案を重ねながら、課題の本質から一緒に考える姿勢で取り組んでいます。営業担当を介さず、デザイナー自身がお客様と直接打ち合わせを行うため、認識のズレが起きにくく、目的に即した設計が可能です。
「今のサイトをどうにかしたい」「これからサイトを作りたいけど何から始めれば?」という方は、お気軽にご相談ください。